21時を過ぎた頃、友人の奥さんから電話があり、彼の訃報に接することになった。
彼は、私と妻の共通の友人で、年齢的には私達の後輩にあたる。
彼が独身の時には、彼と彼の仲間達とで、朝まで酒を飲んだ。結婚した後も、家族で遊びにきたり、一緒に花見に行ったりした。
彼の結婚式では、彼の希望で私が披露宴の司会を務めた。
彼が私の妻と同郷で、彼の奥さんと私が同郷である、という奇妙な縁もあった。
式が終わってほっとしていると、彼がやってきて「完璧だったですよ!」と喜んでくれた事が思い返される。
とても暖かい、気持ちのいいやつだった。
比較的近所に住んでいるので、街中でばったり会ったり、通勤帰りの彼と駅でばったり会ったり、そんな事も一度や二度ではなかった。
つい数カ月前も、スーパーで2人の子供達を連れた彼の家族と会って、立ち話をしていたのだ。
朝、普通に元気に会社に行ったのだそうだ。
帰りの駅で、事故にあった。
そのまま病院に運ばれ、2日間生死の境をさまよい、結局意識の戻らないまま帰らぬ人となった。
奥さんは、気丈に電話をかけてきてくれた。
私の妻は訃報に接して、身体が震えてとまらなくなった。
私は、彼の死を、突然の訃報が常にそうであるように、うまく受け入れられずにただぼう然とした。
元気な小学生の男の子と、ハートと同じ5歳の女の子がいる。
胸がつぶれそうになる。
2人の幼い子供を残してこの世を去らねばならなかった彼、さぞや無念であったろう。
今は、ただただ悲しい。