子供を持つ親にとって、信頼のできる小児科医を見つけるというのは必須の事だと思っている。
が、残念ながら、なかなか巡り合うことができないのが現状だ。
人の良い方や、優しい方は、いらっしゃる。でも、小児科医に求められるのはそれだけではない。
私が、良いお医者さんを選ぶ基準の一つに、抗生剤をやたらと処方しない、というのがある。
もちろん、それだけで、医者としてのスキルまで解るものではないが、すくなくとも医療に対してどのような姿勢で向き合っているかは解るというものだ。
多くの方がご存知のように、抗生剤は細菌にこそ効果があるが、ウィルス性の疾患には有効な手段ではない。
このことは、抗生剤の乱用による耐性菌の増加などがメディアで話題になっているので、すでに一般でも既知の事なのだが、ほとんどの医院では、いまだに風邪だと診察されると抗生剤が処方される。
欧米では、抗生剤を投与する際には血液検査などをして、細菌が確認されたら初めて処方するというのが一般的なのだそうだ。検査もせずに抗生剤を投与するのは、医者として恥ずかしい行為にとられるのだという。
私も、風邪の時に、根拠もないのに、とにかく抗生剤を処方する医者を信用していない。
たぶん、そういうお医者さんは、患者も医学的な知識を勉強している事に気づいていないのだ。
患者は医者の言う事に従うものだと思っているのだろうし、患者には医学的な知識はないとそう旧態依然と思われているのだろうな。
勉強するさ、子供を守るためだもん。
今、私の子供達がお世話になっているクリニックのある先生は、抗生剤の投与に慎重な方だ。
普通の風邪で、今まで抗生剤を処方された事は、一度もない。信念をもって、抗生剤の処方を控えられている。
私はその方を信頼しているが、でも、そのクリニック全体で同じことが行われているかというと、実は、そうでもないのだな。
日本の医療の現場は、いまだに前近代的で閉鎖的である事を実感する。
昨日の木曜日、その先生とお酒を飲んだ。
この先生と巡り合ったのは昨年の秋頃だと思う。
初めて行ったクリニックだったのだが、帰ってきた奥さんが、良い先生がいるから、次の時に私も一緒に行って話しを聞いてみて欲しいと言ってきた。
その後、一緒に行って短いながらもお話をさせていただき、若い方なのだが、非常に真面目に医療に取り組んでいられる姿勢に感銘を受けた。
で、幸いな事に、その先生も私に興味を持っていただいたらしく、メールのやりとりなどをして、今度一度飲みましょうという話しになったのだ。
お酒を飲んで、いろんな話しをしたのだが、医療に対して、実にしっかりとした考え方を持たれている先生で、私はまたその方の事が好きになった。
次回の約束とお互いの家でホームパーティをやろうという話しにまでなり、多いに盛り上がった。
これからも、安心して子供達をお願いできる方だ。
たぶん、今の日本で、そういう先生に巡り合えた私の家族は、幸運であると言えるだろう。
日本全国、どこでもそうなればよいのにと、強く願う。