本日の本題ではないのだが、まずは、20年程前の話から。
20年ほど前、関西のある小学校の6年生が卒業制作で学校のプールの底にミッキーマウスの絵を描いた。
それを知ったディズニー社からその小学校に、著作権に抵触するという強烈なクレームがきて、何ヶ月もかけて子供達が描いたミッキー絵を消さねばならなくなったというニュースがあった。
ディズニー社の著作権に関する姿勢を語る時に、今でも引き合いに出される有名な話。
当時、このニュースに触れた時には、なんだよディズニーは、とよい気持ちはしなかった。
当時の日本のマスメディアも、どちらかというとD社の姿勢に「そこまでするか?」という反応を示し、D社に対して好意的な記事はなかったように記憶している。
また、同様に当時の社会の反応も、私の感じた事と同様で、子供達のする事になんでそこまで?という認識が大半であったように思う。
私も含めて、20年前の日本の知的財産に関する認識は、その程度であったのだ。
今思えば、まず非難されるべきは、それを卒業制作として許した学校側であることは、間違いのない話。
たとえそれが子供のした事だろうと、学校の施設であろうと、自社の権利は断固として主張し、守り抜くというディズニーの姿勢は、少なからず評価に値するものであると思う。
著作権というのは、そこまで厳しくしなければ守れないものなのだろうと思う。そこには、妥協や例外があってはいけないのだ。(ただ、自社の権利を主張する姿勢は評価はするが、あの会社が自社の権利と同様に他者の権利を等しく大事にしているかという事については激しく疑問を抱く一人ではある)
さて、今日の本題はここにはない。
その著作権の権化のようなディズニーに対して、こういう事をした所があるのだ。
先週、ネットを徘徊中に見つけたこの記事は、かなり衝撃的だった。
http://www.afpbb.com/article/1528294
中国の北京の遊園地なのだそうだが、小学生が卒業制作でプールに絵を描きましたどころの話ではない。
ちょっとあり得ないだろ、という内容だ。
この遊園地のキャッチフレーズが「ディズニーランドは遠すぎる」というのだから、かなりの確信犯で、これをやったのだと思える。
欧米とアジア圏の知的財産に関する認識の違いは、昨今よく取り上げられる事ではあるが、さすがにこれはひどいだろう。
D社は、すでにWTOに提訴済みらしいが、どのような決着を見るのか、興味津々である。
最後に。
実はプールの話には後日談がある。
絵を消させたD社は、この事で子供達が著作権について学ぶ良い機会になっただろうとコメントをした。
そして、絵を描いた子供達全員を東京ディズニーランドに招待したのだそうだ。
当時は、この対応にも賛否両論があったのだが、私は良い対応であったと思う。